フィリピン移住の現実。悲惨な生活になる?セブは物価が安いのか?メリットデメリットのリアル
フィリピン移住は悲惨なのか。今回はセブの生活の現実をまとめていく。
これまで「物価が安い」と言われてきたフィリピンだが、2004年現在、「物価は今でも安いのか」、「フィリピン移住のメリットやデメリット」など移住した場合の特徴を主観で細かくまとめた。
円安の現在、実際にフィリピンへ移住するとどうなのか。移住を目的に滞在したリアルをまとめていく。
1 フィリピンの言語
フィリピンのマニラ、セブはメイン都市として人気。移住するのならまずはこのエリアを見に行くのがいい。特にセブ島は語学留学のメッカでもあるため、留学しながらフィリピンの様子を知ることもできる。
フィリピンの公用語は英語。フィリピンには200を超える独自の言語があるため、フィリピン人同士でさえ言葉が通じないこともあるという。また、かつてスペイン、アメリカの植民地であった背景もあり、公用語が英語となっている。
学校の授業も英語で行われるため英語を話せる人が多い。現地人の英語は、比較的ゆっくりと大きく発音してくれるため聞き取りやすい。フィリピンの英語の訛りを気にする人もいるが比較的上手な人が多い。
特に、大学を卒業するようなフィリピン人であれば、発音も上手く聞き取りやすい英語でコミュニケーションをとってくれる。香港やシンガポールに次ぐ英語で意思創通ができるアジア圏の一つともいえる。
2 マンツーマンの英会話留学
フィリピンでは日本や韓国、中国人向けに英語の語学を学べる学校がたくさんある。日本人オーナーが設立した学校もあれば、韓国資本の学校もある。コロナ禍で閉校したところもあるが、また最近盛り上がりを見せている。
フィリピンの英会話留学は、基本的にマンツーマンで授業が行われている。生徒に対して1人ずつマンツーマンで授業が行われた、より会話に特化したカリキュラムが含まれている。
フィリピン人の平均月収が2万円程度だったことによるコスト面からマンツーマン学習が提供できている。欧米の語学学校でよくあるグループレッスンとは違い、英会話をせざるを得ない環境に身を置くことができるため、英会話スキルが向上できると人気になった。
特に、大学生の20代を中心に多くの日本人も英語を学びにきている。また社会人のキャリアの転換期に短期移住をして語学力を高める人も増えた。
フィリピンは、アジア圏でも英語がどこでも通じ、なおかつ、英語学習も安くマンツーマンで学び直すこができるの留学のメッカとしても認知されている。
3 セブの雰囲気
特にフィリピンのセブ島は若いエネルギーであふれている。フィリピンの平均年齢の若さもあるが、日本人大学生の留学先として若い世代が渡航していることも理由の一つ。
比較的、学習意識が高い人が、わざわざ日本を離れて留学していることが多いため、新しいことや学習意欲が高いモチベーションを持った人に出会える。
東南アジア独特の若いエネルギーや、日本人留学生の若々しいパワーを感じながら、セブでの生活を楽しむことができるのも面白さだ。
4 住みやすいエリアはどこ?
まず移住の下見で訪れるべき場所はITパークだろう。名前の通りIT特化した企業がオフィスを構えているエリア。
wi-Fiも早くショッピングモールも入っているため、日本と同じような生活ができる。スーパーもあるし、レストランはそこそこ充実している。セブンの中心エリアなので、Grabのタクシーも捕まえやすい。バス乗り場もあるため、移動も簡単だ。
比較的高級なコンドミニアム『Avida Tower』や『Calyx Centre』もあり、日本人も多く住んでいる。AirBnbでは短期滞在でホテルのように利用することもできるため、気になるコンドミニアムは1度泊まってみると体感できるのでいい。
またITパークは、もともと第二次世界大戦中の日本統治家時代、日本軍が滑走路として利用していた場所がITパークとなった。その名残もあるのか、ITパークの道路はなぜか広くまっすぐと作られているのも奥ゆかしい。
5 Wi-Fiスピードは速くなった
ITパークはWi-Fiのスピードはセブ島で最も速いと言われている。数年前までセブ島はWiFiが遅いことで有名だったが、今現在は日本と同程度のWi-Fiスピードになっている。
例えばYouTubeの視聴であったり、動画をアップロードすることも日本と変わらずできる。ネットがつながっているカフェも多いため、広いカフェでパソコンを持って仕事をすることもできる。
6 物価の安さ
2024年現在、「物価は安い」と感じられるくらい差がある。ただ、数年前のような「日本の3分の1の価格」だと感じられるほど安いわけではない。
ローカルな食事として道端で売っている昼食を頼めば200円程度でランチが楽しめる。ただし、日本のランチの味のクオリティーを求めるのであればそれなりの料金がかかる。
フィリピンは物価が安いと言われていたが、今現在はそれほど安くはない。もちろん郊外に行ったり、ローカルフードを食べれば安いのは間違いない。ただ、日本と同じようなクオリティーのものを求めようとすれば、日本と変わらない値段かもしくは日本よりも高くなる。
世界的に物価が上がったように、フィリピンの物価も上がっている。昔は輸入品でさえ少し安いと感じるような感覚だったが、今では日本で買うよりも高いような印象になっている。それなりの高いクオリティーのものを求めれば、それなりの費用がかかる。
フィリピンの物価 |
スーパーの食料品ペットボトルの水500ml 40円 |
7 食事の美味しさ
「フィリピンは食事がまずい」と有名だった。実際、美味しい料理を探すことが自体が大変だった。ただ、最近はかなりおいしい料理を提供してくれるレストランが増えている。
外資のチェーン店はもちろん、海外で有名なレストランのシェフが手がけるイタリアン料理、スペイン料理、韓国料理店も増えている。
かなり美味しい料理が食べられるようになった。むしろ、日本で探すよりもリーズナブルな値段で、本場の味やアジア人にも食べやすく美味しく手がけられた料理を楽しめるようになったともいえる。
個人的には、フィリピンの料理が美味しくなったことがここ数年の大きな衝撃だった。体感で言えば、日本で一人一万円の料理を、フィリピンでは半額で楽しめる感覚に近い。それぐらい魅力的なお店も増えている。
フィリピンの物価 |
外食デリバリーランチ 800円 |
8 安くて美味しい料理
リーズナブルにおいしい料理を楽しむのなら、セブ島グルメを食べ歩くのはオススメだ。例えば、『Abaca』系列のレストランはリーズナブルな料金で味も美味しい。
アメリカ、香港、メキシコなど、世界各国の高級ホテルレストランでの修行経験があるオーナーシェフのジェイソン・ハイアットさんが手がけるアバカグループのレストランはセブでも人気になっている。
ジャンルも様々で、メキシカンからアメリカン、カレーやベーカリー、カフェやベトナム料理など数多くのレストランを展開している。
最近では『Grab Eats』でアプリで注文できる宅配料理専門の『Abaca Eats』もできており、ホテルにいながら本格的な料理を食べられるようになった。価格も安いので、何度もリピートしてしまうほど。
雨が降っていたり、外に出たくない日は、デリバリーでおいしい料理が楽しめるのがここのレストランのオススメポイントだ。
9 日本人経営の日本食も充実
日本食もかなり充実している。かつ丼や天ぷら、うどんや牛丼などの大手チェーン店もある。もちろん、味も美味しい。一昔前であれば、ちょっとしたスーパーの惣菜レベルの味だったが、今では美味しい日本食が食べられる。
ラーメンも日本と変わらないクオリティーのモノが食べられるし、日本人が経営する寿司屋もある。さすがに刺身のクオリティーは劣るもののあるが、気にならないレベルを提供してくれる。
日本食は総じて値段が上がるものの、中国人オーナーの日本食レストランは安かったりするのでピンキリ。「日本食が食べたいな」と思えば、気軽に食べに行けるので、恋しくなることはない。
10 水質や飲水事情
生活にかかるコストは、フィリピンの方が少し安いが日本での生活費とあまり変わらないと感じることもある。
例えば、水は毎度購入する必要がある。日本は水道水を飲むこともできる。最近はあまり直接飲む人は少ないが、水道水は直接飲めるほど水質が良いとされる。
ただ、フィリピンでは水道水は飲めない。現地の人でも直接は飲まないという。ウォーターサーバーを備え付けている家庭や職場も多い。日本でも最近、家庭用ウォーターサーバー取り付ける人が増えているが、水道水の水質と言う点では、日本の方が良い。
フィリピンで購入できる水は日本よりも安い。スーパーによっては500mlのペットボトル1本40円程度。もちろん毎日使えばコストも嵩む。10リットルの水が400円程度で置いてあるので、小分けにして使えばコストは下がる。
日本で生活するのであれば、蛇口に浄水器を取り付けて、直接濾過して飲料水として利用することもできる。フィリピンで生活する場合は、スーパーで水を購入して飲料水を確保することになりそうだ。
11 自炊は安い?
自分で料理をつくれば安くはなる。ただし、日本と比べて安いモノもあれば高いモノもある。例えば、フィリピンの場合葉物野菜は高い。日本で一玉200円程度で買えるサニーレタスは、セブ島のスーパーでは400円だった。そもそも野菜を食べる文化が少ないこともあるのか葉物野菜は値段が高め。
日本と比べて肉類は安い。日本の価格よりも2割引程度の価格感で手に取りやすい。もちろん購入する場所によってクオリティーは全く異なるが、日本と同じクオリティーの肉類が販売されている。スーパーもあるため利用しやすい。
典型的な東南アジアの肉が外に放置され、ハエがたかり、臭いもある売り場もあれば、きちんと冷蔵庫付きショーケースに陳列され、販売されているスーパーもある。
ただし、輸入品は高い。チョコレートやチーズなどフィリピン国内で生産されていないような商品は、日本と同価格か、もしくは日本よりも高い感覚だった。
12 食あたりが多い
フィリピン生活のデメリットは、食あたりになる確率が高いことだ。ストリートフードを購入するわけでもなく、普通のレストランに行ったとしても食あたりになるリスクは高い。そもそものレストランの衛生環境が悪いことや、使っている食材や飲み水の氷など、あらゆる場面で食あたりになる確率がある。
日本の飲食店でもたまに食あたりになることはあるが、フィリピンは体感的にそのリスクが高い。気をつけていたとしても、知らぬまにお腹を壊してしまうこともある。例えば、ウォーターサーバーの水を飲んでいたとしても、そのウォーターサーバーのノズルがクリーニングされておらず、腹を壊すことがあった。
安全だと思っていても、食あたりのリスクがあるため、フィリピンの生活はより気をつける必要がある。
オススメは『ビオフェルミン』を持っていくこと。整腸剤を持っていくことで、常に腸内環境を整える意識が芽生える。その他、食物繊維豊富な『クロレラ』や『クレアラボ コンプリートバイオティック』のプロバイオティクス乳酸菌で善玉菌を増やすのも方法の一つ。
東南アジア全般として、食あたりになるリスクが上がるからこそ、日本での生活以上に腸内環境に気を配る必要がある。
13 治安は少しずつ良くなっている
数年前と比べ、フィリピンは治安が良くなってきている。以前は大型のショッピングモールでさえ、警戒しないといけない雰囲気だったが、最近はスマホを見ながら歩いている現地人を見かけるくらい少しずつ良くなっている様子。
これまで短パンにサンダルを履いている現地人が多かったが、長ズボンに靴を履く人の方が増えた。ちょっとした変化だが、経済成長したことによるファッションの文化がアップデートされていた。発展することに比例して治安も改善している様子。
ただ、薄暗い路地に入れば話は別。少し道を間違うだけで、雰囲気がガラッと変わるので気をつける必要がある。もちろん夜に一人で歩くことは避けたいし、都市部ではなく郊外であれば全く異なる。
14 シャワーの勢いが弱い
フィリピンはシャワーの勢いが弱い。そもそも水が豊富な日本ほどシャワーの勢いが強い国は少ないとも言えるが、フィリピンはシャワーの水圧が高くはない。
高級なコンドミニアムやホテルを利用しても水の勢いが乏しいこともしばしば。これは、施設の水道管が細いことが関係しているといわれている。また年中常夏なこともあり、そもそも水しかでない場所もある。
以前泊まったホテルでは、シャワーでお湯も出ず、水圧も弱く水滴が落ちてくるようなちょぼちょぼだったこともあった。数年前の悲惨なシャワー環境を体験していたからこそ、少しシャワーの水圧やお湯が出るだけでもありがたいと感じることもできるようになった。
15 年中通して温暖な気候
フィリピンの一番のポイントは、気候が年中暖かいことだ。平均気温は27℃程度と年中通して暖かい。もちろん雨も降るが、東南アジア特有のスコールのようなドッとした雨の降り方をして、パッと止むことが多い。そのため、気づいたときに雨になって、気づいたときには雨が止んでいる感覚になる。
日本のような四季はありがたい。ただ、デメリットを強調するなら、冬はすこぶる寒く、春は花粉が舞うので外に出られない。梅雨時期はジメジメとして、夏は湿気と暑さで耐えきれないような生活ともいえる。
フィリピンは年中通して暖かい。日本よりも暑い日もあるが、年中エアコンが効いている。施設も多いため、逆に寒いと感じることもある。一長一短あるが、暖かい気候が、好きな人にとってはフィリピンは過ごしやすいだろう。
16 交通費の高騰
残念なことに、以前よりも交通費がかかるようになった。数年前まで初乗り80円程度だったタクシーは、いまでは120円程度と上がった。石油
価格が高騰したことや物価の上昇を感じるようになった。
以前は、どこへ行くにも『Grab』で気軽にスマホでタクシーを呼んで移動できたものの、料金が上がったため使うのをためらうようになった。
ただ、どこへ行くにもタクシーかバイクが必要になるため、タクシーを乗らないわけにはいかない。これまでジプニーというローカルなトラックの荷台に乗るようなバスがあったのだがコロナのロックダウンもありほとんどなくなってしまった様子。
中心地ではコンパクトバスが走るようになったものの、渋滞が多い市内では移動もしづらいのが現状。これまで見られなかった自転車に乗っている人や電動キックボードに乗る人もいるなど移動手段が進化している。
フィリピンに定住するのであれば、移動手段を確保することが必要になってくる。
17 フィリピンへのフライト
フィリピンへのフライトはセブパシフィックのLCCを使うのが安い。関東や関西、九州の空港からも利用でき、マニラへのダイレクトフライトもある。
福岡からであれば片道15,000円程度。安くて往復3万円程度の料金。地図を見るとわかるが、意外にも日本からフィリピンは距離的にも近い。九州からであれば4時間のフライトで着くことができる。マニラからセブへのフライトは1時間半程度なので、国内の移動もしやすい。
フィリピンのセブ島へは、成田空港であれば直行便が出ている。関西空港から直行便が出ると言う話もあるので、今後はより移動しやすくなるだろう。
18 フィリピンはユートピアなのか?
数年前までフィリピンでの生活は月8万円で済んでしまうほど、日本人にとってはコスパが良いものだった。もちろん人によるが、実際にそれなりの生活はできていた。
だが、現在では日本と同じような生活を求めれば、それなりの費用がかかってくる。物価上昇や円安の要因もあるため、フィリピンは生活コストがすこぶる安いユートピアではなくなった。
一年中通して温暖な気候であり、日本よりも物価は少し安い。今後の為替相場によって変わるため、一度下見してみるのがおすすめ。