【事例】ギフト経済とは?プロセスエコノミーは返報性の原理マーケティング戦略?
今話題の「プロセスエコノミー」。その原点には、返報性の原理やギフト経済がある。実際、どんな原理原則なのかイメージがつかない人も多いはず。今回はこのマーケティング知識をより噛み砕いて、事例をまとめて解説します。
ギフト経済とは?返報性の原理マーケティング
例えば、人からプレゼントをもらうと「ありがとう」とか「お返ししたくなる気持ち」が湧きますよね。これを「返報性の原理」といいます。
スカイマークでは機内サービスで無料の飲み物とキットカットがもらえるのか?
機内で食べるチョコレートが美味しかったり、機内で飲めるジュースが意外に楽しみだったり、機内食の時間が待ち遠しかったり。
けどよくよく考えると変じゃないですか?「なぜ、わざわざドリンクを無料でプレゼントするのだろう?」とか「何で無料でキットカット配るのだろう?」って。
実はこれマーケティングの要素がバッチリ詰まっているんです。無料でプレゼントすることが戦略なんです。
1 フリーミアム戦略は王道!これが返報性の原理
世の中には、「初回無料ヨガレッスンできます!」とか「はじめてこられた方には無料の化粧品サンプルプレゼント!」という「無料」のサービスがあふれていますよね。「こんなに無料で大丈夫?」って思うくらい、無料なサービスが増えました。
実際、無料なサービスは、全サービスを無料にしてしまうと、経営が成り立ちません。だからこそ、どこかで「お金」を取る必要があるのです。それが、前なのか、後ろなのかの違いです。
初回だけ無料で、2回目から有料になるのは、入会者や登録者を増やす目的があるからですよね。サービスを契約してくれる人を増やすマーケティングの目的があって無料にしているのです。
「ヨガの月額会員を増やすために無料体験があるんだな」とか「化粧品のサンプル使ってよかったら買ってもらおうという戦略だな!」と、おそらくここまでは、皆さんが想像つくはずです。
2 スカイマークのチョコは乗り心地向上に繋がる?
ここでクイズです。では、なぜ、飛行機の中で「チョコレート」を配るのでしょうか?
冒頭でお話ししたように、僕は昨日、飛行機の中で「キットカット」をもらいました。飛行機は、別に、長期で「契約」するサービスでもなく、一回だけチケットを買えば終わるビジネスですよね。なのに、なぜ、チョコレートなんでしょうか?
それは、「返報性の原理」という人間特有の固定的行動パターンという行動学が潜んでいるからです。「人はプレゼントされるとお返しをしたくなる習性」があるんです。
3 チョコレートは満足度をアップさせる?
アメリカのニューヨーク州で行動分析学者らが行った「レストランのチップの額を調べた」研究によると、食後にチョコレートを渡したテーブルは、チョコレートを渡さなかったグループよりも、3.3%チップ額が上昇したという結果が出ています。
ウエイターが会計前に、お客様にチョコレートを1つ渡しただけで、チップの額が上がったんです。
さらに、チョコレートを2つ手渡しした場合、チップの額は14.1%上昇。もっというと、チョコを1つ渡した後に、ウエイターがそのテーブルを離れて、もう一回テーブルに戻ってきて「特別にもう一つどうぞ」と渡した場合は、21.3%も上昇したのです。
要するに、この研究で言えるのは、人はチョコレートという「プレゼント」をもらうだけで、満足度が上昇し、チップという「お返し」をしたくなるという感じです。さらにいうと、そのプレゼントが些細なものであったとしても、2つもらうと特別感が増す。もっというと、予想しなかった意外なパターンで「特別に」もらえるとさらに満足度が上がるという具合です。
お客様が満足してくれるように、しっかり考えられたマーケティング戦略が込められています。これが「返報性の原理」を使った戦略です。だから、飛行機の中で「無料」でチョコレートを渡し、「無料」でコーヒーをプレゼントするのです。
4 コスパよく満足度を上げ「選んでもらう」
価格競争が落ち着きつつあるいま、航空会社は自分の会社を「選んでもらう」ために、あらゆる戦略を投じているのです。実は、これ以外にも、なぜチョコレートなのかとか、なぜコーヒーなのかとか、どうしてあのタイミングで、なぜ他のドリンクは有料なのかとか面白い戦略がたくさん潜んでいます。
皆さんも世の中にある面白い「無料サービス」を見つけてみてください。特にアメリカの企業は、行動分析学をしっかり取り入れた戦略をしているので、面白いですね。
5 なぜ、ソフトドリンクは100円するのか?
実はスカイマークでは「ソフトドリンクなどは100円でご提供させていただきます。」というようなアナウンスがあります。これもまた戦略の一つ。理由は、コーヒーがより引き立つ効果があるからです。実際、ネスレとの広告提携のポイントが高いかもしれませんが、あえて、価格に差をつけているので、「コーヒーは無料なんだ」と消費者は感じることができます。
コーラは有料だけど、コーヒーは無料で、キットカットもプレゼントしてくれるスカイマークはお得だな、いいなという印象を与えることができるのです。
6 なぜ無料で機内サービスが提供されるのか?
1つは「ファンをつくる」ためです。みなさんはJALやANAに乗ったことがありますよね。おそらく、「やっぱり日本の航空会社は丁寧だな」「これのサービスはいいよね」って思うことってありませんか。これが「ブランド力」です。「〇〇はいいサービスを提供してくれる」と認識できているのがブランドです。
スカイマークも満足度をアップさせて、ファンを作ることにも力を入れているのです。正直、飛行機のチケット代は、下がるところまで下がっていて、ここからは「価格競争」ではなくなってきました。価格競争から、いかにファンになってもらうか「ファン競争」になりつつあります。
「価格競争」で戦うのではなく、「ファンをつくる」ことで「選んでもらう」時代ですよね。正直、国内線なんて、LCCが通っていないエリアは、値段なんてどこも変わらないですよ。もし、値段がほぼ同じ航空券があったとき、僕は「LCC」より「スカイマーク」の飛行機を選びます。これは、潜在的に、幸福度が上がっているためです。
チョコレートをもらったという幸福度が上がっている、コーヒー飲めるという効用が上がっている。ちょっとしたプレゼントで、選んでもらえるのなら、チョコとコーヒーはかなりコスパのいいプレゼントですよね。科学的、行動分析学的に「効果がある」とされている手法をどんどん取り入れています。
7 飛行機が離陸する最後に「アンケート」を取る理由は?
飛行機が離陸する最後に「アンケートのお願いをアナウンス」します。これも面白い戦略が潜んでいます。「3つの質問で終わるアンケートなので、ぜひご協力ください」というアンケート。
正直、3つのアンケートを書く人って少ないです。ただ、人は「返報性の原理」が働くので、プレゼントをしてもらったら、お返しをしないといけないという行動が働きます。「チョコレートもらったし、アンケートくらい」「 3つで終わるアンケートなら協力するか」という心理になり、アンケートに協力しやすくなります。
そもそも「3つしかないアンケート」ならわざわざ回収する必要がないわけです。3つの質問なんて、アンケートしたところで「スカイマーク側」に何か特別なメリットがあるわけでもないですよね。まして、アンケートに答えるためにを「アプリ」をダウンロードしないといけない。となるともっと、アンケートを答える側にも手間がかかります。
スカイマーク側が本当に「アンケートだけ」を答えてもらうだけなら、チョコレートやコーヒーと一緒に「紙」のアンケートを渡せばいいのです。だけれども、わざわざアプリをダウンロードさせてまで、簡単な3つの質問に答えてもらうのかというと、それは「顧客リスト」をつくるためです。
8 アンケートでアプリをダウンロードして見慣れてもらう
人って「慣れているモノ」や「身近なモノ」を好む傾向があります。テレビCMで流れている商品は「いいモノだ」と思ったり、「見慣れてるから買うか」と馴染みのモノと反応してしまう傾向があるのです。
面白いですよね。「親指の導線上」という言葉があるように、誰もが毎日使う「スマホ」に、アプリをダウンロードさせれば、何気ないときに、ふと、スカイマークのアプリのロゴが目に止まるわけです。
これは、気づかないレベルの「潜在意識」にも効果があります。テレビCMで何気なく見ていたあの宣伝効果と同じように、テレビを見なくなった現代人にも、毎日使うスマホのアプリという「広告」効果が発揮できるマーケティングにもなるのです。
毎日使うスマホにアプリとして、ダウンロードしてもらうからこそ、「スカイマーク」を身近に感じてもらい、何気なく毎日見ているからこそ、航空券を買う時に、「スカイマーク」を「選んでもらう」効果が働くのです。
「無料のチョコレート」や「無料のコーヒー」、「3つの簡単なアンケート」には、「費用をかけずにできる」超細かいマーケティングが潜んでいるのです。
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影響力の武器の本はもうない?影響力の正体が最新版
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返報性の原理の解説本
「返報性の原理」やその他4つの行動パターンを詳しく説明しているのがロバート・チャルディーニの「影響力の武器」で、このPRE-SUATIONはその続編です。「影響力の武器」を読んでない方はますこちらを。
2020年は「ギフト経済」が流行ると予測しています。贈り物をあげる人ともらいたい人をマッチングさせるモデルが流行ります。贈り物をあげる人ともらう人、そのビジネスを仕掛ける「みんなが笑顔になる」仕組みを知る上で欠かせない実用書です。
より詳しく、人の遺伝子に組み込まれた行動パターンを引き出すための「準備」を知りたい人におすすめです。
僕が実際に脱サラした話
2016年につくった初々しい記事 | |
2016年にこの「海外移住計画」記事を書いたこの記事は、2016年当時、僕がまだ普通のサラリーマンだった頃に趣味で書いた記事をリライトしたもの。「海外フリーランスという働き方を確立して、海外移住をする」という気持ちを書き残している。正直、今読み返すと「何を言っているの?」と思う箇所も多々あったが、記録のために残している。恥ずかしいが、こんな中二病のような時期も「過去の自分」。 旅行が好きだった僕は、脱サラして「海外で生活すること」を目指した。これが、その時の軌跡。要するに「海外生活できる仕事をすればいい」と思ったことがきっかけ。この記事を書いてから1ヶ月単位で、やるべきことを実行して「脱サラ海外フリーランス」になった。
脱サラして海外移住する計画
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